2017年リオ・オープンの1回戦、錦織選手の対戦相手はトマス・ベルッシ選手。
錦織選手のリオ・オープン1回戦のプレイヤー情報、試合結果とスタッツを見ていきます。
プレイヤー情報(1回戦)
まずは、錦織選手とトマス・ベルッシ選手のプレイヤーデータの紹介です。(※大会前のデータ)
錦織 圭 | ベルッシ | |
1勝 | 対戦成績 | 0勝 |
5位(4位) | 最新ランキング(最高) | 76位(21位) |
日本 | 国籍 | ブラジル |
27歳 | 年齢 | 29歳 |
1989年12月29日 | 生年月日 | 1987年12月30日 |
178cm / 75kg | 身長 / 体重 | 188cm / 82kg |
右 / 両手 | 利き手 / バック | 左 / 両手 |
2007年 | プロ転向 | 2006年 |
9勝3敗 | 2017年成績 | 2勝3敗 |
0回 | 2017年優勝回数 | 0回 |
307勝144敗 | 通算成績 | 187勝194敗 |
11回 | 通算優勝回数 | 4回 |
選手名鑑『トマス・ベルッシ』では、ベルッシ選手の選手紹介やツアー経歴など詳しく紹介しています。
錦織、1回戦の結果
[1] 錦織 圭(5位) | 0 | 4 | 3 | |
トマス・ベルッシ(76位) | 2 | 6 | 6 | |
試合時間:1時間19分 |
---|
地元ブラジルの声援を受け終始すばらしいプレーを続けたベルッシ選手が、第1シードの錦織選手を破り、2回戦に進出。
一方、アルゼンチン・オープンの決勝から中1日での出場となった錦織選手は、2015年の全米オープン以来となる1回戦での敗退となりました。
第1セットの立ち上がりからストロークの精度もよく、調子が良さそうに見えた錦織選手。
しかし、ベルッシ選手のサービスを攻略できないまま先にブレイクを許し、第1セットを先取されます。
第2セットに入ると錦織選手のアンフォーストエラーが一気に増え、第1ゲームでいきなりブレイクを許すなど、流れをつかめないままストレートで敗れ、初戦で姿を消すことになりました。
それでは、今日の試合のスタッツを見てみます。
錦織選手はリターンゲームでポイントが思うように取れず、1試合通してブレイクチャンスは1回のみ。
リターンのときにポジションを後ろに下げるなどいろいろ試していましたが、フリーポイントになったり、返球できてもボールが浅くなったりと、リターンでチャンスがまったく作れませんでした。
錦織 | 試合全体 | ベルッシ |
3 | サービスエース | 3 |
0 | ダブルフォルト | 3 |
63%(35/56) | ファーストサーブ確率 | 59%(32/54) |
63%(22/35) | 1st Serve Points Won | 78%(25/32) |
52%(11/21) | 2nd Serve Points Won | 55%(12/22) |
100%(1/1) | ブレイク / チャンス | 57%(4/7) |
45%(50/110) | Total Points Won | 55%(60/110) |
[スタッツ用語の補足]
1st Serve Points Won:ファーストサーブが入った時にポイントを取得した確率。
2nd Serve Points Won:セカンドサーブが入った時にポイントを取得した確率。
Total Points Won:自分が取得した全ポイント。
セットごとに試合を振り返っていきます。(振り返りでは「選手」は略)
第1セット
錦織のサービスで試合開始。
立ち上がりから錦織のストロークの精度がよく、錦織は安定したサービスゲームを展開。
ベルッシもしっかりとキープを続け、お互いキープが続いていきます。
ゲームが進む中で、ベルッシが次第に攻撃的なショットが増え調子を上げてくる一方で、錦織はベルッシのファーストサーブが入るとラリーに繋げられない状況が続くなど、リターンでチャンスが作れません。
そして迎えた第9ゲーム。 錦織が連続ミスをするなど、このゲームだけで3本のアンフォーストエラーが出て30-40とベルッシにブレイクチャンス。このピンチを踏ん張ることができず、ベルッシがブレイクに成功。
第10ゲーム、ベルッシのサービングフォーザセット。40-15からベルッシにウィナーを決められると、錦織がフラストレーションを抑えきれなくなり、ラケットを叩きつけて破壊。
ベルッシが第1セットを先取。
第1セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | 4 | ||||||
ベルッシ | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | – | – | 6 | ||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
ベルッシのサーブに対応できなかった錦織。
錦織のストロークの調子はよく見えましたが、ベルッシのサーブに対してバウンドを合わせきれない感じで、フリーポイントを多く取られるなどラリーに持ち込めない状況が続いていました。
そんな中で先に自分のミスが絡んで先にブレイクを許してしまうなど、不甲斐ないプレーでセットを取られたことで怒りが爆発したのかもしれません。
ブレイクを許した第9ゲーム以外は安定したサービスゲームを展開していただけに、非常に悔やまれます。
錦織 | 第1セット | ベルッシ |
0 | サービスエース | 1 |
0 | ダブルフォルト | 1 |
54%(13/24) | ファーストサーブ確率 | 71%(20/28) |
77%(10/13) | 1st Serve Points Won | 80%(16/20) |
73%(8/11) | 2nd Serve Points Won | 63%(5/8) |
0%(0/0) | ブレイク / チャンス | 100%(1/1) |
48%(25/52) | Total Points Won | 52%(27/52) |
5 | Winner 合計 | 5 |
2 | フォアハンド | 3 |
3 | バックハンド | 1 |
0 | サーブ | 1 |
11 | Unforced error 合計 | 7 |
7 | フォアハンド | 3 |
4 | バックハンド | 3 |
0 | サーブ | 1 |
第2セット
錦織のサービスで第2セット開始。
第1ゲーム、錦織が30-0とポイントを先行するも、連続ミスで30-30。サーブアンドボレーを試みるもボレーが甘くなり、30-40とベルッシにブレイクチャンス。
最後も錦織のミスでベルッシがブレイクに成功。
第1セットと比べるとストロークの精度が一気に落ちて、第1ゲームでの3本のミスは全部ネットに掛かるものでした。
第4ゲーム、40-0とベルッシのゲームポイントから、ベルッシのミスなどもあり、錦織がブレイクバックに成功。
直後のゲームからガッツポーズを見せるなど、錦織がギアを上げて逆転に持っていけるかというところでしたが、今日の錦織は波に乗れません。
ベルッシのミスが増え始めているのに、錦織が先にミスをして助けてしまいます。
第7ゲーム、錦織の3連続ミスで15-40とベルッシにブレイクチャンス。最後も錦織のミスで、ベルッシがブレイクに成功。
第9ゲーム、15-40とベルッシにマッチポイント(ブレイクポイント)が来ます。
このピンチは凌ぎましたが、4度目のマッチポイントは凌ぎきれず、ベルッシが勝利。
第2セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ● | ○ | – | – | – | 3 | ||||||
ベルッシ | ● | ○ | ○ | ● | ○ | ● | – | – | – | 6 | |||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第2セットは、とにかく錦織のストロークでのアンフォーストエラーが目立ちました。
私の集計では錦織選手のアンフォーストエラーは20本。バックハンドのエラーが第1セットに比べ増加(4本→13本)。
錦織がラリーで押して攻撃しているのに先にミス。
特にストロークでネットにボールを掛けるシーンが度々見られ、フィーリングが相当悪かったのかもしれません。
(第1セットでブレイクされるまではよく見えたんですが・・・)
錦織 | 第2セット | ベルッシ |
3 | サービスエース | 2 |
0 | ダブルフォルト | 2 |
69%(22/32) | ファーストサーブ確率 | 46%(12/26) |
55%(12/22) | 1st Serve Points Won | 75%(9/12) |
30%(3/10) | 2nd Serve Points Won | 50%(7/14) |
100%(1/1) | ブレイク / チャンス | 50%(3/6) |
43%(25/58) | Total Points Won | 57%(33/58) |
第1セットのウィナーとアンフォーストエラーのスタッツは映像で表示されましたが、第2セットと試合全体の分は表示されなかったため、第2セットの映像を見ながらウィナーとアンフォーストエラーを集計してみました。
私の個人的な判断で辛口に取っているところもあるかもしれないので、あくまでも参考に。
錦織 | 第2セット | ベルッシ |
7 | Winner 合計 | 9 |
2 | フォアハンド | 4 |
2 | バックハンド | 3 |
3 | サーブ | 2 |
20 | Unforced error 合計 | 13 |
7 | フォアハンド | 7 |
13 | バックハンド | 4 |
0 | サーブ | 2 |
1回戦を振り返っての感想
アルゼンチン・オープンの決勝から中1日で、このコートでの練習不足でフィーリングがつかめていなかったかもしれませんが、ここを本番に見据えて挑んでいたとしては内容のない終わり方になってしまいました。
ベルッシ選手のプレーも良かったと思いますが、第2セットに関してはそれ以上に錦織選手のミスが目に付く内容でした。
第1セットでブレイクを許してからは別人のような内容で、この試合に限らず1試合の中でのこのアップダウンの大きさは、今後の課題の一つかもしれません。
そして、過去にもあったようですが、私が初めて見る錦織選手のラケット破壊。
アルゼンチン・オープンの決勝では覇気がない姿に映り、勝つ気があったのかと批判的な意見が見られましたが、今回は勝ちにいっているけど思うようなプレーができない、「心・技・体」がバラバラの状態でした。
この状態でも勝てる相手だったらよかったですが、地元ブラジルNo.1選手のクレーコーターのベルッシ選手。
初戦では1番当たりたくなかった選手を引いてしまったのも、錦織選手の大会ではなかったということでしょうか。
南米のクレー2大会を終えて
例年とはスケジュールを変えて、2017年2月は南米でのクレー2大会の出場を決めたチーム錦織。
個人的にはアルゼンチン・オープンで早期敗退になっても、リオ・オープンに照準を合わせて結果を残してくれればと思っていましたが、残念な結果に終わりました。
この2大会を通して、4月から始まるヨーロッパでのクレーシーズン、そして全仏オープンに繋がる何かがあったかと言われると、クレーでいい感触をつかむという意味では収穫はなかったかもしれません。
ただ、錦織選手のプレーが研究されていることもあって、ランキング下位の選手にどの試合でも苦戦しているように、現状のままだと厳しいことだけは分かりました。
(南米のクレーコートが錦織選手に合わなかっただけかもしれませんが・・・)
2014年以降、クレーコートでもハードコートで戦うように「ベースラインから下がらず前に踏み込んで早い展開のテニスをする」、このクレーでの常識を覆すような戦い方で錦織選手はクレーコートでも結果を残してきました。
もちろん錦織選手の調子が良ければ、この戦い方で強さを発揮できると思います。
クレーコートに限らず、トップ選手に勝つ(優勝)ために錦織選手のプレーレベルの上限のさらなる引き上げ、調子が悪くてもランキング下位の選手の挑戦をはねのける戦い方やプレーレベルの底上げが必要ですが、一つ一つ階段を登って行ってもらいたいところです。
そして、3月のマスターズまでに休みができたと思って、体と心をリフレッシュして、万全な状態で挑めるようにしっかりと準備してくれればと思います。
錦織、次の出場予定は!?
錦織ファンとしてはモヤモヤした感じが残ったまま、あっという間に南米での大会が終わってしまいましたが、錦織選手の次の試合は、3月8日から始まるインディアンウェルズ・マスターズ(BNPパリバ・オープン)です。
錦織選手の出場は約2週間後になりますが、このモヤモヤをした気持ちを忘れて、来週はトップ選手が多く出場するドバイとアカプルコの大会を見てテニスを楽しみたいと思います。
※2017年、錦織の試合予定
※2017年ATP500リオ・オープンの大会情報、ドロー表、放送予定
※2017年リオ・オープン、その他の結果
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