ATPランキングの仕組みについて解説

はじめに、ATP(Association of Tennis Professionals)とは男子プロテニスツアーを運営する団体「男子プロテニス協会」のことで、ATPランキングは男子テニスの世界ランキングのことを指します。

例えば、ATPランキングで1位になったときは、一般に「世界ランキング1位」という表現が使われています。

ちなみに女子テニスの世界ランキングはWTAランキング。(女子テニス協会:Women’s Tennis Association)

それでは、ATPランキングの仕組みとATPツアーの各大会の獲得ポイントについて説明していきます。

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男子テニスのランキングの仕組み

男子テニスのランキングには、「ATPランキング」と「ATPレースランキング」の2つがあります。

ATPランキング

「世界ランキング」のことで、直近52週間(約1年間)に出場した大会のうち獲得したポイントの高い上位19大会のポイントの合計でランキングが決まり、ATPツアー最終戦のNitto ATPファイナルズに出場した選手は、この19大会とは別枠でポイントが加算されます。

2人以上の選手の合計ポイントが同じだった場合、グランドスラム、マスターズ1000、ATPファイナルズの合計ポイントが高い順にランキングが決まります。(これ以下の条件は省略)

獲得したポイントの期限

各大会で獲得したポイントは獲得した日からシーズンをまたいで継続され、獲得してから52週(約1年)後の月曜日にポイントが失効します。

ATPファイナルズのポイントについては、翌年のレギュラーシーズン最後の大会(現在、パリ・マスターズ)後の月曜日にポイントが失効します。

ATPレースランキング

「ATP Ranking Race to Turin」のことで、1月1日からポイント「0」でスタートし、レギュラーシーズン終了までに出場した大会のうち獲得したポイントの高い上位19大会のポイントの合計でランキングが決まります。

そして、ATPレースランキングの上位8名の選手は、ATPツアー最終戦のNitto ATPファイナルズの出場権を獲得します。

ただし、レースランキング8位から20位の間にその年のグランドスラムの優勝者が1人いる場合、該当する選手が8位でATPファイナルズへの出場権を獲得します。グランドスラムの優勝者が2人いる場合は、ランキングが高い選手が8位の出場権を獲得し、もう1人の選手は補欠となります。

ランキングの対象となる19大会について

ATPランキングおよびATPレースランキングの対象となる19大会は、コミットメントプレーヤー(前年のATPランキングが30位以内だった選手)かそうでないかで内訳が異なります。

コミットメントプレーヤー

グランドスラムの4大会、モンテカルロ・マスターズを除くマスターズ1000の8大会、ATP500とATP250と下部ツアーの中で獲得したポイントが高い上位7大会の計19大会。

※コミットメントプレーヤーの出場義務については、この後説明します。

コミットメントプレーヤーではない選手

獲得ポイントが高かった上位19大会。

ただし、グランドスラムやマスターズ1000(モンテカルロ・マスターズを除く)の本戦のドローに入った場合は、獲得したポイントが低くてもランキングの対象となる19大会にカウントされます。

コミットメントプレーヤーではなくてもグランドスラムやマスターズ1000の本戦にストレートインできるランキングにいる選手は、19大会のうち最大12大会をグランドスラムやマスターズ1000の大会で埋めることになるため、ランキングを上げて行くにはこれらの大きな大会で上位の選手(シードの選手)を破って結果を残していく必要があります。

ランキング30~50位あたりで伸び悩む選手も多く、トップ30に入れるかどうかのあたりが一つの壁になっています。

コミットメントプレーヤーの出場義務について

コミットメントプレーヤー(前年のATPランキングが30位以内だった選手)には、以下の大会への出場が義務付けられています。

・グランドスラム
 全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープンの4大会すべて

・マスターズ1000
 全9大会のうちモンテカルロ・マスターズを除く8大会

・ATP500
 全16大会のうち4大会

※モンテカルロ・マスターズに出場した場合は、ATP500の大会としてカウントされます。

出場義務であるATP500の4大会のうち1大会は、全米オープン後に開催される以下の大会であること。

・チャイナ・オープン(中国/北京)
・ジャパン・オープン(日本/東京)
・スイス・インドア(スイス/バーゼル)
・エルステ・バンク・オープン(オーストリア/ウィーン)

出場義務の大会を欠場した場合、その大会は「0ポイント」としてランキング対象の19大会に強制加算されます。

ただし、マスターズ1000の大会については、以下の条件を1つ満たすごとに1大会の出場義務が免除され、3つの条件をすべて満たした選手はマスターズ1000の全大会の出場義務が免除されます。

<出場義務免除の条件>
・通算600試合出場
・年間12大会以上出場した年から12年プレー
・満31歳に達すること

このようにベテラン選手への負担を考慮した条件もありますが、それでもトップ選手はランキングを維持するために過密スケジュールをこなし、ポイントの高いグランドスラムやマスターズ1000の大会で結果も残し続ける必要があります。


ATPツアーの各大会の獲得ポイント

ランキングを決めるポイントについて、大会のカテゴリおよび各大会での成績によって獲得できるポイントが決まっています。

<ポイント一覧>
カテゴリドロー優勝FSFQFR16R32R64R128Q
グランドスラム12820001300800400200100501030
ATPファイナルズ81500
max
決勝で勝利「+500」、準決勝で勝利「+400」
ラウンドロビン1勝につき「+200」
ユナイテッドカップ18500
max
※詳細は別途説明
マスターズ100096100065040020010050301016
561030
ATP500485003302001005025016
32025
ATP2504825016510050251308
32/28013
<ポイント一覧>
カテゴリドロー優勝FSFQFR16R32R64R128Q
Grand
Slam
12820001300800400200100501030
ATP
Finals
81500
max
決勝で勝利「+500」
準決勝で勝利「+400」
ラウンドロビン1勝につき「+200」
United
Cup
18500
max
※詳細は別途説明
Masters
1000
96100065040020010050301016
561030
ATP
500
485003302001005025016
32025
ATP
250
4825016510050251308
32/28013

<表の補足>
・F:準優勝(Finalist)
・SF:ベスト4(Semi-final)
・QF:ベスト8(Quarter-final)
・R16~R128:ベスト16~ベスト128
・Q:予選通過

1回戦を免除されたシードの選手が2回戦で初戦敗退となった場合、獲得ポイントは2回戦ではなく、1回戦のポイントとなります。

例えば、マスターズ1000の大会(ドロー56/48)で1回戦を免除されたシードの選手が2回戦で敗退した場合、獲得ポイントはR32の「50」ではなくR64の「10」となります。

ドロー数が大きい大会や予選のポイントについて、カテゴリ別にもう少し詳しく見ていきます。

グランドスラム(4大会)

グランドスラムのドロー数はすべて128。

ドロー優勝FSFQFR16R32R64R128QQ3Q2Q1
12820001200720360180904510251680
ドロー優勝FSFQFR16R32R64R128
128200013008004002001005010
QQ3Q2Q1
301680

<表の補足>
・Q:予選通過(予選3回戦で勝利)
・Q3:予選3回戦
・Q2:予選2回戦
・Q1:予選1回戦

予選通過者は本戦でのポイントに加え、予選「Q」のポイントも加算されます。

ATPファイナルズ

8名の選手が4人ずつの2つのグループ(グループAとグループB)に分かれて「ラウンドロビン」と呼ばれる総当り戦を行い、各グループの成績上位2名が準決勝に進出。

グループAの1位とグループBの2位、グループBの1位とグループAの2位による準決勝を行い、勝者が決勝に進出。

・ラウンドロビン
 ラウンドロビン1勝ごとに200ポイント獲得。

・準決勝
 準決勝で勝利すると400ポイント獲得。

・決勝
 決勝で勝利すると500ポイント獲得。

全勝で優勝すると1,500ポイントを獲得。

ユナイテッド・カップ(国別対抗戦)

出場18カ国のチームが3チームからなる6つのグループに分かれてラウンドロビン方式のグループステージを行います。

開催都市ごとに3つのグループがあり、各グループ1位の6チームと2位の中で最も成績が良かった2チーム(各都市で1チームずつ)が準々決勝に進出(2024年の開催都市はシドニーとパース)。

準々決勝に進出した8カ国がノックアウト方式で優勝を争います。

各ラウンドで試合に勝利した選手にポイントが与えられ、シングルスで獲得できるポイントは対戦相手のランキングによって決まります。(シングルスで獲得できる最大ポイントは500ポイント)

ラウンド対戦相手のランキング
1~10位11~20位21~30位31~50位51~100位101~250位251位~
決勝18014012090604035
準決勝1301059060403525
準々決勝80655540352520
グループステージ55454035252015
ラウンド対戦相手のランキング
1~1011~2021~3031~5051~100101~250251~
決勝18014012090604035
準決勝1301059060403525
準々決勝80655540352520
グループ
ステージ
55454035252015

マスターズ1000(9大会)

マスターズ1000には2種類のドロー数の大会があり、本選のドロー数によって獲得ポイントが異なります。

<ドロー数96の大会>
・BNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ)
・マイアミ・オープン(マイアミ)
・ムチュア・マドリード・オープン(マドリード)
・BNLイタリア国際(ローマ)
・ナショナルバンク・オープン(トロント/モントリオール)
・ウエスタン&サザン・オープン(シンシナティ)
・ロレックス上海マスターズ(上海)

<ドロー数56の大会>
・ロレックス・モンテカルロ・マスターズ(モンテカルロ)
・ロレックス・パリ・マスターズ(パリ)

ドロー優勝準優勝SFQFR16R32R64R128QQ2Q1
96100065040020010050301020100
561030160
ドロー優勝FSFQFR16R32R64R128
961000650400200100503010
5610
QQ2Q1
9620100
56/4830160

<表の補足>
・Q:予選通過(予選2回戦で勝利)
・Q2:予選2回戦
・Q1:予選1回戦

予選通過者は本戦でのポイントに加え、予選「Q」のポイントも加算されます。

ATP500(16大会)

ATP500には2種類のドロー数の大会があり、本選のドロー数によって獲得ポイントが異なります。

<ドロー数48の大会>
・ムバダラ・シティDCオープン(ワシントン)

<ドロー数32の大会>
・上記の大会以外

ドロー優勝FSFQFR16R32R64QQ2Q1
48500330200100502501680
32025130
ドロー優勝FSFQFR16R32R64
4850033020010050250
320
QQ2Q1
481680
3225130

予選通過者は本戦でのポイントに加え、予選「Q」のポイントも加算されます。

ATP250(30大会)

ATP250には3種類のドロー数の大会があり、本選のドロー数によって獲得ポイントが異なります。

<ドロー数48の大会>
・ウィンストン セーラム・オープン

<ドロー数32と28の大会>
・上記の大会以外

ドロー優勝FSFQFR16R32R64QQ2Q1
482501651005025130840
32/2801370
ドロー優勝FSFQFR16R32R64
482501651005025130
32/280
QQ2Q1
48840
32/281370

予選通過者は本戦でのポイントに加え、予選「Q」のポイントも加算されます。

下部ツアー

下部ツアーである「ATPチャレンジャー・ツアー」と「フューチャーズ」のポイントについては、省略させていただきます。

ランキングが低い選手は、下部ツアーの大会でポイントを稼いでランキングを上げてから上位のツアーにステップアップしていく形になります。

デビスカップとオリンピック

デビスカップとオリンピックは、2016年よりATPランキングのポイント対象外となっています。

最後に

ここまでATPランキングの仕組みについて解説してきましたが、これらの仕組みをもとに算出されたATPランキングは毎週月曜日に発表されています。また、2週間開催のグランドスラムとマスターズ1000の開催期間中の月曜日はランキングは更新されません。

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