2018年10月22日から10月28日(2018年第43週)にウィーン(オーストリア)で開催されるATP500「エルステ・バンク・オープン」。
錦織圭の準々決勝の対戦相手は、世界ランキング7位のドミニク・ティエム(25歳・オーストリア)。
錦織とティエムのプレイヤー情報、準々決勝の試合結果とスタッツを見ていきます。
※これまでティエムで表記してきましたが、ティームの表記が多くなってきたので、近々ティームに変えようかと思います。
プレイヤー情報(準々決勝)
過去の対戦成績は、錦織の2勝、ティエムの1勝。
ハードコートでは初対戦となります。
直近の対戦は2018年の全仏オープン(クレー)の4回戦で、ティエムがセットカウント3-1(6-2、6-0、5-7、6-4)で勝利しています。
※2018年10月26日時点(試合前)
錦織 圭 | ティエム | |
2 勝 | 対戦成績 | 1 勝 |
11位 (4位) | 最新ランキング (最高) | 7位 (4位) |
日本 | 国籍 | オーストリア |
28歳 | 年齢 | 25歳 |
1989年12月29日 | 生年月日 | 1993年9月3日 |
178cm / 75kg | 身長 / 体重 | 185cm / 79kg |
右 / 両手 | 利き手 / バック | 右 / 片手 |
2007年 | プロ転向 | 2011年 |
38勝17敗 | 2018年成績 | 50勝16敗 |
0回 | 2018年優勝回数 | 3回 |
369勝172敗 | 通算成績 | 221勝125敗 |
11回 | 通算優勝回数 | 11回 |
準々決勝「錦織 vs ティエム」の結果
試合日:10月26日(金)
[5] 錦織 圭 (11位) | 2 | 6 | 6 | |||
[1] ドミニク・ティエム (7位) | 0 | 3 | 1 | |||
試合時間:1時間8分 |
---|
第5シードの錦織圭(28歳・日本)が第1シードのドミニク・ティエム(25歳・オーストリア)を6-3、6-1のストレートで破り、準決勝進出を決めました。
簡単に試合を振り返ります。
第1セット
第1セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ● | ○ | ● | ○ | ○ | – | – | – | 6 | |||
ティエム | ○ | ● | ○ | – | – | – | 3 | ||||||
○:キープ、●:ブレーク |
錦織のサービスで試合開始。
第1ゲーム、錦織がファーストサーブをしっかりと入れて次の3打目で攻撃を仕掛けてポイントを取って行き、錦織がラブゲームでキープ。(錦織のファーストサーブ4/4)
第2ゲーム、ティエムのバックハンドのミス、セカンドサーブでのポイント、フォアハンドの連続ミスがあり、15-40と錦織にブレークポイントが来ます。
ティエムが1本凌ぎますが、ティエムのフォアハンドに回り込んでの逆クロスへのショットがアウトとなり、錦織がブレークに成功。(ティエムのファーストサーブ0/6)
第3ゲーム、錦織のダブルフォルト、錦織が先に攻撃を仕掛けてのポイント、ティエムの深いリターンでのポイント、錦織のボレーミスがあり、15-40とティエムにブレークポイントが来ます。
錦織がファーストサーブで連続でポイントを取り、デュースへ。
デュース1回目、ティエムのバックハンドのミス、錦織のファーストサーブでのポイントがあり、錦織がキープ。
第4ゲーム、ロングラリーから錦織のバックハンドのダウンザラインへのショットでのポイント、錦織の見事なバックハンドのダウンザラインへのウィナー、錦織の深いリターンでのポイントがあり、0-40と錦織にブレークポイントが来ます。
ティエムが先に攻撃を仕掛けてのポイント、ティエムのファーストサーブでのポイント、ティエムのフォアハンドの逆クロスへのウィナーがあり、デュースへ。
デュース1回目、ティエムにバックハンドのミスが出て、再び錦織にブレークポイントが来ます。
セカンドサーブに対して錦織がバックハンドの角度のあるクロスへのリターンでポイントを取り、錦織がブレークに成功。
第5ゲーム、錦織のファーストサーブでのポイント、ダブルフォルト、バックハンドのミスで15-30とティエムがポイントを先行。
ここから錦織のサーブ&ボレーでのウィナー、ファーストサーブでのポイント、サーブ&ボレーでのウィナーがあり、錦織がキープ。
第6ゲーム、ティエムのファーストサーブでのポイント、錦織が厳しいコースへのリターンから先に攻撃を仕掛けてのポイント(15-15)、ティエムのセカンドサーブでのポイント(錦織のリターンミスに近い)、ティエムの連続サービスエースがあり、ティエムがキープ。
第7ゲーム、錦織のサービングフォーザセット。
錦織の見事なフォアハンドのライジングでの逆クロスへのウィナー、錦織のバックハンドのミスとフォアハンドのミス(15-30)、ティエムのリターンミス、ストロークの打ち合いでのティエムのポイントがあり、30-40とティエムにブレークポイントが来ます。
ティエムのフォアハンドのダウンザラインへのウィナーが決まり、ティエムがブレークを1つ返します。
第6ゲームまで錦織の一方的な展開で地元のティエムを応援する観客も盛り上がれない状況となっていましたが、このティエムのブレークから観客の声援がどんどん大きくなって会場が異様な雰囲気へと変わって行きます。
第8ゲーム、ティエムのファーストサーブでの連続ポイント、セカンドサーブでのポイント(錦織のリターンミスに近い)、ドロップショットでのポイントがあり、ティエムがラブゲームでキープ。
第9ゲーム、錦織のサービングフォーザセット(2回目)。
錦織のフォアハンドのミス、ティエムが先に攻撃を仕掛けてのポイント、錦織のフォアハンドのミスがあり、0-40とティエムにブレークポイントが来ます。
錦織のサーブ&ボレーでのウィナー、ストロークの打ち合いでのティエムのバックハンドのミス(錦織のディフェンスが上回る)、錦織のファーストサーブでのポイントがあり、デュースへ。
デュース1回目、フォアハンドの打ち合いでのティエムのミスヒット、バックハンドのクロスラリーから錦織の見事なバックハンドのダウンザラインへのウィナーが決まり、錦織が第1セットを先取。
最後はティエムがバックハンドの角度と深さのあるクロスへのショットで錦織の甘い返球を引き出そうと勝負に出ましたが、錦織は横に振られる体勢からの見事なダウンザラインへのカウンターショットを決め、ティエムに行っていた流れを断ち切り、第2セットに向けて弾みが付くポイントとなりました。
錦織 | 第1セット | ティエム |
0 | サービスエース | 3 |
2 | ダブルフォルト | 0 |
66% (21/33) | ファーストサーブ確率 | 52% (12/23) |
67% (14/21) | 1st Serve Points Won | 67% (8/12) |
55% (6/11) | 2nd Serve Points Won | 45% (5/11) |
33% (2/6) | ブレーク / チャンス | 17% (1/6) |
5/7 | ネットポイント | 1/1 |
43% (10/23) | Return Points Won | 38% (12/32) |
55% (30/55) | Total Points Won | 45% (25/55) |
7 | Winner 合計 | 7 |
3 | フォアハンド | 2 |
4 | バックハンド | 0 |
0 | サーブ | 5 |
9 | Unforced error 合計 | 8 |
3 | フォアハンド | 4 |
4 | バックハンド | 4 |
2 | サーブ | 0 |
[スタッツ用語の補足]
・1st Serve Points Won:ファーストサーブが入った時に取得したポイント。
・2nd Serve Points Won:セカンドサーブが入った時に取得したポイント。
・Return Points Won:リターンゲームで取得したポイント。
・Total Points Won:取得した全ポイント。
第2セット
第2セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ● | ○ | ● | ○ | ○ | ● | – | – | – | – | – | 6 | |
ティエム | ○ | – | – | – | – | – | 1 | ||||||
○:キープ、●:ブレーク |
ティエムのサービスで第2セット開始。
第1ゲーム、ティエムのバックハンドのミス、錦織のフォアハンドのクロスへの深いショットでのポイント(0-30)、ティエムのボレーでのウィナーとフォアハンドのクロスへのウィナー、ティエムの深いセカンドサーブでのポイント(40-30)、錦織の深いリターンでのポイントがあり、デュースへ。
デュース1回目、ティエムにダブルフォルトが出て、錦織にブレークポイントが来ます。
またもティエムにダブルフォルトが出て、錦織がブレークに成功。
第2ゲーム、ティエムのフォアハンドのミス、ティエムの見事なバックハンドのパッシングショット、錦織の見事なバックハンドのダウンザラインへのウィナー(オンライン)、錦織にとってアンラッキーなコードボールでのティエムのポイント(30-30)、錦織のフォアハンドのドライブボレーでのポイント、錦織のサーブ&ボレーでのウィナーがあり、錦織がキープ。
第3ゲーム、ティエムのダブルフォルトとフォアハンドのミス、錦織のフォアハンドのストレートへの深いショットでのポイントがあり、0-40と錦織にブレークポイントが来ます。
ティエムが1本凌ぎますが、ティエムにフォアハンドのミスが出て、錦織がブレークに成功。
第4ゲーム、ストロークの打ち合いでの錦織のポイント、ストロークの打ち合いでのティエムのポイント、錦織のフォアハンドのダウンザラインへのウィナー、錦織のセカンドサーブでのポイント(40-15)、ティエムのリターンエース、錦織のファーストサーブでのポイントがあり、錦織がキープ。
第5ゲーム、ティエムのスマッシュのウィナー、ファーストサーブでのポイント、サービスエース(40-0)、ティエムのフォアハンドのミス、錦織がリターンから攻撃を仕掛けてのフォアハンドのクロスへのウィナー(40-30)、ティエムのサービスエースがあり、ティエムがキープ。
第6ゲーム、錦織のフォアハンドに回り込んでのダウンザラインへのウィナー、サーブ&ボレーでのポイント、セカンドサーブでのポイント、ファーストサーブでのポイントがあり、錦織がラブゲームでキープ。
第7ゲーム、錦織の深いリターン&深いショットでのポイント、ティエムのフォアハンドのドライブボレーのウィナー、錦織のフォアハンドのミス、錦織のバックハンドのダウンザラインへのリターンエース(30-30)、錦織のバックハンドの角度のあるクロスへのウィナーがあり、30-40と錦織にマッチポイント(ブレークポイント)が来ます。
錦織がフォアハンドのクロスへの深いショットでポイントを取り、錦織がブレークをして勝利。
錦織 | 第2セット | ティエム |
0 | サービスエース | 2 |
0 | ダブルフォルト | 3 |
69% (11/16) | ファーストサーブ確率 | 52% (13/25) |
64% (7/11) | 1st Serve Points Won | 69% (9/13) |
100% (5/5) | 2nd Serve Points Won | 8% (1/12) |
75% (3/4) | ブレーク / チャンス | 0% (0/0) |
4/5 | ネットポイント | 4/4 |
60% (15/25) | Return Points Won | 25% (4/16) |
66% (27/41) | Total Points Won | 34% (14/41) |
7 | Winner 合計 | 8 |
3 | フォアハンド | 4 |
4 | バックハンド | 2 |
0 | サーブ | 2 |
2 | Unforced error 合計 | 13 |
1 | フォアハンド | 6 |
1 | バックハンド | 4 |
0 | サーブ | 3 |
試合振り返り・スタッツ
第1セット、第1ゲームで錦織が良いリズムでキープをしたのに対し、第2ゲームでティエムはファーストサーブが1本も入らない上にストロークミスを連発するなど力みが見られ、錦織が先にブレークに成功。
第4ゲームも錦織がブレークをして第7ゲームでサービングフォーザセットを迎えますが、ここでティエムにブレークを許したことで流れが変わります。(ティエムがポイントを取った時の歓声がどんどん大きくなって行きます。)
第9ゲームでの錦織の2回目のサービングフォーザセットでは平常心でプレーができないような完全アウェイの雰囲気となり、錦織は0-40の絶体絶命のピンチを迎えましたが、ここから錦織が5連続でポイントを取って第1セットを先取。(最後のバックハンドのダウンザラインへのウィナーはしびれました)
第2セット、ティエムは第1セット終盤に見せていた勢いがなくなり、第1ゲームで錦織が先にブレークに成功。
第1セットの序盤と同様に錦織の一方的な展開となり、錦織が第3ゲームと第7ゲームをブレークして勝利。
錦織のストロークが深くて安定感(第2セットでの錦織のアンフォーストエラーはわずか2本)があり、相手にプレーをさせない早い展開の攻撃、無理のない流れるような展開からのネットプレー(サーブ&ボレー)など、ティエムを圧倒するほどのすばらしいプレー内容でした。
また、ティエムのファーストサーブの確率は52%と低くかったですが、錦織はファーストサーブに対してもしっかりとリターンを返球(わずかにフォルトになったのも平然と返していました)し、さらにセカンドサーブになるとティエムがポイントをまったく取れないという状況で、リターンゲームで常にティエムにプレッシャーをかけ続けてリズムをつかませませんでした。
錦織はこの勝利でレースランキング9位に上がり、ファイナルズ出場に向けても大きな1勝となりましたが、さらにポイントを上積みするチャンスなので、準決勝でもまたすばらしいプレーを見せて欲しいです。
錦織 | Match | ティエム |
0 | サービスエース | 5 |
2 | ダブルフォルト | 3 |
67% (32/48) | ファーストサーブ確率 | 52% (25/48) |
66% (21/32) | 1st Serve Points Won | 68% (17/25) |
69% (11/16) | 2nd Serve Points Won | 26% (6/23) |
50% (5/10) | ブレーク / チャンス | 17% (1/6) |
9/12 | ネットポイント | 5/5 |
52% (25/48) | Return Points Won | 33% (16/48) |
59% (57/96) | Total Points Won | 41% (39/96) |
14 | Winner 合計 | 15 |
6 | フォアハンド | 6 |
8 | バックハンド | 2 |
0 | サーブ | 7 |
11 | Unforced error 合計 | 21 |
4 | フォアハンド | 10 |
5 | バックハンド | 8 |
2 | サーブ | 3 |
錦織の準決勝の対戦相手は!?
錦織圭のエルステ・バンク・オープンの準決勝の対戦相手は、世界ランキング71位のミハイル・ククシュキン(30歳・カザフスタン)。
過去の対戦成績は、錦織の7勝、ククシュキンの0勝。(ツアーの予選も含めると錦織の8戦8勝)
ハードコートでは、錦織の4勝、ククシュキンの0勝。(ツアーの予選も含めると錦織の5戦5勝)
直近の対戦は2017年のジュネーブ・オープン(クレー)の2回戦で、錦織がセットカウント2-0(6-4、6-3)で勝利しています。
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