2017年マイアミ・オープン(マイアミ)の4回戦、錦織選手の対戦相手は、世界ランキング57位のフェデリコ・デルボニス選手。
錦織選手のマイアミ・オープン4回戦のプレイヤー情報、試合結果とスタッツを見ていきます。
最後に準々決勝の対戦相手を紹介します。
プレイヤー情報(4回戦)
錦織選手とフェデリコ・デルボニス選手のプレイヤーデータの紹介です。
※大会前の2017年3月20日時点のデータ
錦織 圭 | デルボニス | |
0勝 | 対戦成績 | 0勝 |
4位(4位) | 最新ランキング(最高) | 57位(33位) |
日本 | 国籍 | アルゼンチン |
27歳 | 年齢 | 26歳 |
1989年12月29日 | 生年月日 | 1990年10月5日 |
178cm / 75kg | 身長 / 体重 | 191cm / 88kg |
右 / 両手 | 利き手 / バック | 左 / 両手 |
2007年 | プロ転向 | 2007年 |
12勝5敗 | 2017年成績 | 5勝5敗 |
0回 | 2017年優勝回数 | 0回 |
313勝147敗 | 通算成績 | 90勝98敗 |
11回 | 通算優勝回数 | 2回 |
選手名鑑『フェデリコ・デルボニス』では、デルボニス選手の基本情報やツアー経歴など詳しく紹介しています。
錦織、4回戦の結果
錦織選手が第2セットで左膝を痛めて苦しい状況になりましたが、この逆境の中でも最後まで戦い抜いた錦織選手が勝利し、4年連続で準々決勝に進出。
[2] 錦織 圭(4位) | 2 | 6 | 4 | 6 |
フェデリコ・デルボニス(57位) | 1 | 3 | 6 | 3 |
試合時間:2時間14分 |
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第1セット、錦織選手とデルボニス選手ともに立ち上がりから良いプレーが出て、お互いキープが続きましたが、次第に錦織選手が主導権を握る展開へ。
第7ゲームと第9ゲームでブレイクに成功した錦織選手が第1セットを先取。
第2セット、錦織選手のフォアハンドのエラーが連発した第3ゲームでデルボニスがブレイクに成功すると、そのままゲームは進みデルボニス選手が第2セットを奪取。
第2セット途中で錦織は左膝に痛みが出て、セット間にメディカルタイムアウトを取る状態まで悪化。
ファイナルセットでは、第1ゲームでダブルフォルト4本など左膝の痛みでプレーに影響が出ていた錦織選手でしたが、第4ゲームからは一気にプレーが良くなりデルボニス選手を圧倒して勝利。
この試合のスタッツを見てみます。
錦織選手は、試合途中に左膝の痛みでアンフォーストエラー(ダブルフォルト)が増えましたが、試合を通して良いプレーが随所に出てのではないかと思います。
特にファイナルセットの中盤以降は、ストロークの精度、ストロークからネットプレーへの展開など、非常に良かったです。
左膝の心配ばかりして見ていたのに錦織選手のプレーが良くなっていくと、このギャップが大きくて何がどうなっているのかという状況のまま勝ってしまいました。
あとは、デルボニス選手のファーストサーブに対してはタイミングの合ったリターンを返せていましたが、セカンドサーブになったときにポイントがなかなか取れない状況で、あと一歩欲しいところで取れないという感じでした。
錦織 | 試合全体 | デルボニス |
2 | サービスエース | 3 |
7 | ダブルフォルト | 3 |
58%(49/84) | ファーストサーブ確率 | 56%(51/91) |
82%(40/49) | 1st Serve Points Won | 65%(33/51) |
49%(17/35) | 2nd Serve Points Won | 53%(21/40) |
44%(4/9) | ブレイク / チャンス | 67%(2/3) |
10/12 | ネットポイント | 5/11 |
54%(94/175) | Total Points Won | 46%(81/175) |
1,606m | Total Distance Run | 1,747m |
27 | Winner 合計 | 15 |
14 | フォアハンド | 11 |
11 | バックハンド | 1 |
2 | サーブ | 3 |
41 | Unforced error 合計 | 31 |
20 | フォアハンド | 14 |
14 | バックハンド | 14 |
7 | サーブ | 3 |
[スタッツ用語の補足]
1st Serve Points Won:ファーストサーブが入った時にポイントを取得した確率。
2nd Serve Points Won:セカンドサーブが入った時にポイントを取得した確率。
Total Points Won:自分が取得した全ポイント。
Total Distance Run:総走行距離
セットごとに試合を振り返っていきます。(振り返りでは「選手」は略)
第1セット
デルボニスのサービスで試合開始。
第1ゲーム、錦織のリターンの反応が良く、リターンから攻撃を仕掛け15-30とポイントを先行させるも、デルボニスが3連続ポイントでキープ。
第2ゲーム、錦織のクロス、ダウンザラインへウィナーが決まるなど、軽快な動きを見せた錦織がキープ。
第3ゲーム、デルボニスがキープ。
第4ゲーム、錦織のミスやデルボニスのいいショットがありデュースまでもつれるが、錦織がキープ。
第5ゲーム、デルボニスがあっさりとキープ。
第6ゲーム、錦織がラブゲームでキープ。
第7ゲーム、ストローク勝負で錦織が上回り、30-40と錦織にブレイクチャンス。
最後もストロークで打ち勝った錦織がブレイクに成功。
第8ゲーム、錦織のミスとダブルフォルトで0-30とポイントを先行されるも、慌てることなくしっかりと攻めきり、4連続ポイントで錦織がキープ。
第9ゲーム、勢いのなくなったデルボニスを攻め立て、30-40と錦織にセットポイント。
デルボニスがここを凌いでデュースへ。
デルボニスが2度ゲームポイントを握るも攻め急いで決めきれず、錦織に再びセットポイントが来ます。
最後もリターンから攻めた錦織がポイントを取り、第1セットを先取。
第1セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | ● | – | – | – | 6 | |||
デルボニス | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 3 | ||||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
錦織はブレイクポイントを1度も与えない完璧なサービスゲームを展開。
デルボニスも良いプレーを見せていましたが、次第に錦織のリターンからの攻めに耐え切れなくなってミスが出るなど、一気にゲームが動きました。
錦織 | 第1セット | デルボニス |
0 | サービスエース | 1 |
1 | ダブルフォルト | 1 |
68%(17/25) | ファーストサーブ確率 | 56%(19/34) |
88%(15/17) | 1st Serve Points Won | 58%(11/19) |
38%(3/8) | 2nd Serve Points Won | 53%(8/15) |
67%(2/3) | ブレイク / チャンス | 0%(0/0) |
4/5 | ネットポイント | 1/4 |
56%(33/59) | Total Points Won | 44%(26/59) |
10 | Winner 合計 | 5 |
6 | フォアハンド | 4 |
4 | バックハンド | 0 |
0 | サーブ | 1 |
11 | Unforced error 合計 | 8 |
7 | フォアハンド | 3 |
3 | バックハンド | 4 |
1 | サーブ | 1 |
第2セット
錦織のサービスで第2セット開始。
第1ゲーム、錦織は引き続きサーブとストロークが良く、錦織がキープ。
第2ゲーム、デルボニスは第2セットでしっかり立て直し、ラブゲームでキープ。
第3ゲーム、錦織のフォアハンドの連続ミスもあり30-40とデルボニスにブレイクチャンス。
最後も錦織のフォアハンドのミスで出て、デルボニスがブレイクに成功。
第4ゲーム、デルボニスがキープ。
デルボニスのストロークが良くなり、第1セットの立ち上がり時の勢いが出てきました。
第5ゲーム、最初のポイントの後から錦織が左足を気にする仕草を見せます。
0-30とデルボニスにポイントを先行されるも、錦織が4連続ポイントで何とかキープ。
コートチェンジの間、錦織は左膝に痛みがあるようで、トレーナーを呼んでマッサージを受けます。
第6ゲーム、デルボニスがキープ。
第7ゲーム、錦織はサーブを打つときに左膝が気になる様子を見せますが、錦織がキープ。
コートチェンジの間、錦織が再びトレーナーを呼んで左足の膝からモモの辺りに向けてマッサージを受けます。
そして、痛み止めと思われる錠剤を飲みます。
第8ゲーム、錦織のリターンエースが決まるなどデュースへ。
デルボニスのドロップショットをしっかり処理し、錦織にブレイクチャンス。
デルボニスがこのピンチを凌いでキープ。
第9ゲーム、錦織がキープ。
第10ゲーム、デルボニスのサービングフォーザセット。
錦織がリターンから攻め続け、30-40と錦織にブレイクチャンス。
しかし、デルボニスがファーストサーブのフリーポイントでこのピンチを凌ぐと、その後もデルボニスが良いプレーを見せて、第2セットを奪取。
第2セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | 4 | ||||||
デルボニス | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | 6 | ||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第3ゲームのサービスゲームで隙を見せてしまった錦織。
このゲーム以外は安定したサービスゲームを展開していただけに、非常にもったいない取られ方となってしまいました。
デルボニスはブレイクに成功したことで勢いも戻ってきて、錦織の方は左膝に痛みが出ていると、一筋縄では行かない状況でファイナルセットへ。
錦織 | 第2セット | デルボニス |
1 | サービスエース | 1 |
1 | ダブルフォルト | 1 |
59%(16/27) | ファーストサーブ確率 | 50%(18/36) |
88%(14/16) | 1st Serve Points Won | 83%(15/18) |
36%(4/11) | 2nd Serve Points Won | 50%(9/18) |
0%(0/2) | ブレイク / チャンス | 100%(1/1) |
3/4 | ネットポイント | 4/6 |
48%(30/63) | Total Points Won | 52%(33/63) |
10 | Winner 合計 | 8 |
4 | フォアハンド | 6 |
5 | バックハンド | 1 |
1 | サーブ | 1 |
13 | Unforced error 合計 | 10 |
8 | フォアハンド | 5 |
4 | バックハンド | 4 |
1 | サーブ | 1 |
第3セット
錦織のサービスでファイナルセット開始。
第1ゲーム、いきなりダブルフォルトとなりますが、3連続ポイントで40-15と錦織のゲームポイント。
しかし、ここから3連続ダブルフォルトでデルボニスにブレイクチャンス。
このピンチで長いラリーが続きますが、錦織が攻め続け最後はバックハンドのダウンザラインへのウィナー。
その後、連続ポイントで錦織が何とかキープ。
錦織はサーブを打つときはかなり怪しいが、ストロークは何とか大丈夫そう。
第2ゲーム、デルボニスがキープ。
第3ゲーム、錦織のサーブはとりあえず良くなったが、今度はストロークでボールが飛びすぎて抑えが効かない状態に・・・。
40-30とゲームポイントまで行くが、錦織のミスが続きデルボニスにブレイクチャンス。
イライラを隠し切れない錦織は最後もミスが出て、デルボニスがブレイクに成功。
第4ゲーム、錦織のストロークが良くなり、0-40と錦織にブレイクチャンス。
最後はデルボニスのドロップショットがミスとなり、錦織がブレイクバックに成功。
第5ゲーム、痛み止めが効いてきたのか、サーブ、ストローク、フットワーク、ネットプレーすべてが良く、集中力を高めた錦織がラブゲームでキープ。
第6ゲーム、錦織の動きが良くなったことでデルボニスに焦りが見られ、ダブルフォルトやミスもあり、15-40と錦織にブレイクチャンス。
最後もデルボニスにミスが出て、錦織がブレイクに成功。
第7ゲーム、錦織がデルボニスを圧倒し、ラブゲームでキープ。
第8ゲーム、デルボニスがラブゲームでキープ。
第9ゲーム、錦織のサービングフォーザマッチ。
ストローク勝負でデルボニスを振り回すなど、錦織が主導権を握る展開が続き40-15と錦織にマッチポイント。
マッチポイントでダブルフォルトもありましたが、最後まで攻め続けた錦織が何とか勝利。
第3セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ● | ○ | ● | ○ | ○ | – | – | – | 6 | |||
デルボニス | ○ | ● | ○ | – | – | – | 3 | ||||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第1ゲームでダブルフォルトが4本出るなど、ファイナルセットの立ち上がりこそ錦織のアンフォーストエラーが一気に増えましたが、ブレイクバックに成功した第4ゲーム以降はプレー内容が非常に良かったです。
一方でデルボニスは焦りからミスが増えて、どんどんプレーが悪くなって行きました。
錦織 | 第3セット | デルボニス |
1 | サービスエース | 1 |
5 | ダブルフォルト | 1 |
50%(16/32) | ファーストサーブ確率 | 67%(14/21) |
69%(11/16) | 1st Serve Points Won | 50%(7/14) |
63%(10/16) | 2nd Serve Points Won | 57%(4/7) |
50%(2/4) | ブレイク / チャンス | 50%(1/2) |
3/3 | ネットポイント | 0/1 |
58%(31/53) | Total Points Won | 42%(22/53) |
7 | Winner 合計 | 2 |
4 | フォアハンド | 1 |
2 | バックハンド | 0 |
1 | サーブ | 1 |
17 | Unforced error 合計 | 13 |
5 | フォアハンド | 6 |
7 | バックハンド | 6 |
5 | サーブ | 1 |
4回戦を振り返って
まずはデルボニス選手について。
勢いのあるときのプレーは手強く、4回戦まで勝ち進んで来ている通りの良いプレーを見せていました。
ただ、ファイナルセットに入ると、錦織選手の怪我のこともあって状況的にデルボニス選手が有利なはずなのに、序盤でいきなりチャレンジを2回使って2回失敗するなど勝ち急いでいる感じでした。
そして、第3ゲームでブレイクに成功したことでホッとしたのか、その後に怪我しているはずの錦織選手のプレーレベルが上がると付いて行けず、状況を整理できないままミスだけが増えて、錦織選手に一気に流れを持って行かれた感じでした。
一方、錦織選手は左膝の痛みで思うようにプレーができず、フラストレーションがかなり溜まっていました。
そんな状況でブレイクまで許したのに気持ちが切れることなく、逆にすぐにブレイクバックして、そこからギアを上げて勝ちに持っていくメンタルの強さを見せてくれました。
左膝の怪我に関しては、試合後のコメントで「疲れてくるとたまに出る膝の痛みで、しっかり治療すれば大丈夫」とのことで、翌日の準々決勝までにどれくらい回復するかは分かりませんが、とりあえず大丈夫そうで良かったです。
錦織、準々決勝の相手は!?
錦織選手の準々決勝の相手は、世界ランキング40位のファビオ・フォニーニ選手(29歳、イタリア)。
過去の対戦成績は、錦織選手の2勝0敗。
直近の試合は2016年のムチュア・マドリード・オープンの2回戦で、フルセットで錦織選手の勝利。
準々決勝まで勝ち上がってきているので、調子もよく良いプレーをしてくる可能性のほうが高いですが、良い時と悪い時の差が激しいので、実際にやってみないと分からない感じです。
ノーシードの選手とはいえ、準々決勝もまたタフな戦いとなりそうです。
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