2017年BNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ)の準々決勝、錦織選手の対戦相手はジャック・ソック選手。
錦織選手のBNPパリバ・オープン準々決勝のプレイヤー情報、試合結果とスタッツを見ていきます。
プレイヤー情報(準々決勝)
錦織選手とジャック・ソック選手のプレイヤーデータの紹介です。
※大会前の2017年3月6日時点のデータ
錦織 圭 | ソック | |
1勝 | 対戦成績 | 1勝 |
5位(4位) | 最新ランキング(最高) | 18位(18位) |
日本 | 国籍 | アメリカ |
27歳 | 年齢 | 24歳 |
1989年12月29日 | 生年月日 | 1992年9月24日 |
178cm / 75kg | 身長 / 体重 | 191cm / 84kg |
右 / 両手 | 利き手 / バック | 右 / 両手 |
2007年 | プロ転向 | 2011年 |
9勝4敗 | 2017年成績 | 11勝2敗 |
0回 | 2017年優勝回数 | 2回 |
310勝146敗 | 通算成績 | 126勝84敗 |
11回 | 通算優勝回数 | 3回 |
選手名鑑『ジャック・ソック』では、ソック選手の選手紹介やツアー経歴など詳しく紹介しています。
錦織、準々決勝の結果
ソック選手のキックサーブとスピンの効いたショットに対して、最後まで合わせきれなかった錦織選手。
インディアンウェルズ初の準決勝進出とはならず、準々決勝で敗退となりました。
[4] 錦織 圭(5位) | 1 | 3 | 6 | 2 |
[17] ジャック・ソック(18位) | 2 | 6 | 2 | 6 |
試合時間:1時間48分 |
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第1セットの立ち上がりで両者にブレイクチャンスがありましたが、これをモノにしたソック選手が第1セットを先取。
第2セットに入ると、ミスの減った錦織選手が安定したサービスゲームを展開し、2度ブレイクするなど、いい流れで第2セットを奪取。
ファイナルセットの第1ゲームでソック選手にブレイクを許すなど、第2セットから一転してミスが一気に増えた錦織選手が劣勢となり、攻めの姿勢を貫いたソック選手が勝利。
この試合のスタッツを見てみます。
ソック選手のセカンドサーブでのポイント取得率70%が示す通り、錦織選手はソック選手のキックサーブに最後まで苦しめられました。
また、ストローク勝負でも跳ねるボールにタイミングを合わせきれずにミスになる場面が多かった錦織選手。
ミスも多かったですが積極的に攻めてきたソック選手の方が良いプレーが多かったです。
ソック選手がコートの特性を生かし、錦織選手のプレーを封じ込める作戦が良かったと思います。
錦織 | 試合全体 | ソック |
4 | サービスエース | 1 |
3 | ダブルフォルト | 5 |
65%(53/81) | ファーストサーブ確率 | 58%(45/78) |
72%(38/53) | 1st Serve Points Won | 62%(28/45) |
39%(11/28) | 2nd Serve Points Won | 70%(23/33) |
29%(2/7) | ブレイク / チャンス | 27%(3/11) |
3/9 | ネットポイント | 9/12 |
48%(76/159) | Total Points Won | 52%(83/159) |
1,338m | Total Distance Run | 1,468m |
17 | Winner 合計 | 24 |
9 | フォアハンド | 13 |
3 | バックハンド | 6 |
5 | サーブ | 5 |
24 | Unforced error 合計 | 30 |
9 | フォアハンド | 14 |
12 | バックハンド | 11 |
3 | サーブ | 5 |
[スタッツ用語の補足]
1st Serve Points Won:ファーストサーブが入った時にポイントを取得した確率。
2nd Serve Points Won:セカンドサーブが入った時にポイントを取得した確率。
Total Points Won:自分が取得した全ポイント。
Total Distance Run:総走行距離
セットごとに試合を振り返っていきます。(振り返りでは「選手」は略)
第1セット
ソックのサービスで試合開始。
第1ゲーム、ソックのミスが続き、15-40と錦織にブレイクチャンス。
ソックがこれを凌いでキープ。
第2ゲーム、ダブルフォルトやバックハンドのミスが出て、0-40とソックにブレイクチャンス。
1本凌ぐが、ソックのフォアハンドのウィナーが決まり、ソックがブレイクに成功。
第3ゲーム、ソックがキープ。
第4ゲーム、錦織選手のミスやダブルフォルトもあり、15-40とソックにブレイクチャンス。このピンチを凌いで錦織がキープ。
第5ゲーム、ソックの上手いネットプレーや強烈なフォアハンドが決まるなど、ソックがキープ。
第6ゲーム、錦織がキープ。
第7ゲーム、ソックがラブゲームでキープ。
第8ゲーム、錦織がラブゲームでキープ。
第9ゲーム、ソックのサービングフォーザセット。
ソックがラブゲームでキープし、第1セットを先取。
第1セット | |||||||||||||
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1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 3 | ||||||
ソック | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 6 | |||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
ソックのキックサーブに対するリターンやストローク勝負でも、錦織のショットは抑えが効いておらず、ミスになる場面や抑えすぎてストロークが浅くなるなど、錦織は自信を持ってストロークできていない感じでした。
錦織 | 第1セット | ソック |
2 | サービスエース | 0 |
2 | ダブルフォルト | 1 |
64%(14/22) | ファーストサーブ確率 | 52%(14/27) |
79%(11/14) | 1st Serve Points Won | 71%(10/14) |
38%(3/8) | 2nd Serve Points Won | 85%(11/13) |
0%(0/2) | ブレイク / チャンス | 25%(1/4) |
2/2 | ネットポイント | 3/4 |
41%(20/49) | Total Points Won | 59%(29/49) |
4 | Winner 合計 | 6 |
2 | フォアハンド | 3 |
0 | バックハンド | 1 |
2 | サーブ | 2 |
9 | Unforced error 合計 | 6 |
1 | フォアハンド | 2 |
6 | バックハンド | 3 |
2 | サーブ | 1 |
第2セット
錦織のサービスで第2セット開始。
第1ゲーム、大事な立ち上がりを錦織がしっかりキープ。
第2ゲーム、ソックがラブゲームでキープ。
第3ゲーム、錦織のサーブがよく、錦織がキープ。
第4ゲーム、ソックのダブルフォルトやフォアハンドのミスもあり、0-40と錦織にブレイクチャンス。
最後もソックのミスで、錦織がラブゲームでブレイクに成功。
第5ゲーム、ブレイク後の大事なサービスゲーム。デュースまでもつれるが、錦織が何とかキープ。
第6ゲーム、30-40と錦織にブレイクチャンス。ソックが攻めの姿勢を続け、これを凌いでキープ。
第7ゲーム、40-30から錦織の見事なバックハンドのダウンザラインへのウィナーが決まり、錦織がキープ。
第8ゲーム、ソックのミスもあり30-40錦織にセットポイント(ブレイクポイント)。
最後は錦織のいいリターンが決まり、第2セットを奪取。
第2セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ● | ○ | ○ | ● | – | – | – | – | 6 | ||
ソック | ○ | ○ | – | – | – | – | 2 | ||||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第2セットに入ると錦織のストロークのミスが減り、この試合初めてバックハンドのダウンザラインへのウィナーが決まるなど、錦織選手らしいプレーが出ていました。
また、ブレイクポイントを1つも与えないなどサービスゲームも安定し、いい流れでファイナルセットへ。
錦織 | 第2セット | ソック |
0 | サービスエース | 1 |
0 | ダブルフォルト | 2 |
63%(15/24) | ファーストサーブ確率 | 55%(12/22) |
87%(13/15) | 1st Serve Points Won | 42%(5/12) |
44%(4/9) | 2nd Serve Points Won | 60%(6/10) |
67%(2/3) | ブレイク / チャンス | 0%(0/0) |
1/1 | ネットポイント | 3/4 |
61%(28/46) | Total Points Won | 39%(18/46) |
7 | Winner 合計 | 7 |
4 | フォアハンド | 4 |
2 | バックハンド | 2 |
1 | サーブ | 1 |
4 | Unforced error 合計 | 11 |
1 | フォアハンド | 5 |
3 | バックハンド | 4 |
0 | サーブ | 2 |
第3セット
錦織のサービスでファイナルセット開始。
第1ゲーム、大事な立ち上がり、ソックの良いプレーが続いて30-40とソックにブレイクチャンス。
最後は、錦織のフォアハンドの逆クロスがアウトとなり、ソックがブレイクに成功。
第2ゲーム、ソックがキープ。
第3ゲーム、30-15と錦織がポイントを先行するも、ここから連続ミスで30-40とソックにブレイクチャンス。
これを凌いで、錦織がキープ。
しかし、最後サーブを打った後に痛みが出た表情を見せ、錦織が右肘を気にします。
メディカルタイムアウトは取らず、第4ゲームへ。
第4ゲーム、30-40と錦織にブレイクチャンス。
しかし、ソックのキックサーブに合わせきれず、ソックがピンチを凌いでキープ。
とりあえず、第4ゲームを見る限り、先ほどの肘の痛みは影響なさそう。
第5ゲーム、錦織の連続ミスもあり、30-40とソックにブレイクチャンス。
錦織が凌いでデュースへ。
このゲームは錦織のミスがとにかく多く、ファーストサーブの入りも悪くなるなど、連続でポイントが取れません。
ソックが5回目のブレイクポイントをモノにし、ソックがブレイクに成功。
第6ゲーム、錦織の良いリターンが続き、30-40と錦織にブレイクチャンス。
しかしここ一番でソックにいいプレーが出て、ソックがキープ。
第7ゲーム、錦織がキープ。
第8ゲーム、ソックのサービングフォーザマッチ。
この試合で効果的だったキックサーブやフォアハンドのウィナーもあり、40-15とソックにマッチポイント。
最後はファーストサーブでフリーポイントを取り、ソックが勝利。
第3セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | – | – | – | – | 2 | ||||||
ソック | ● | ○ | ○ | ● | ○ | ○ | – | – | – | – | 6 | ||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第2セットのいい流れはどこへ行ってしまったのかというくらい錦織のミスが多く、先にブレイクを許すなど苦しい展開となりました。
第1ゲームのブレイクに関しては、ソックの良いプレーも絡んでのブレイクでしたが、第5ゲームは錦織の自滅という感じでした。
ソックも攻めている分ミスも出ていただけに、この2回目のブレイクは痛すぎました。
錦織 | 第3セット | ソック |
2 | サービスエース | 0 |
1 | ダブルフォルト | 2 |
69%(24/35) | ファーストサーブ確率 | 66%(19/29) |
58%(14/24) | 1st Serve Points Won | 68%(13/19) |
36%(4/11) | 2nd Serve Points Won | 60%(6/10) |
0%(0/2) | ブレイク / チャンス | 29%(2/7) |
0/6 | ネットポイント | 3/4 |
44%(28/64) | Total Points Won | 56%(36/64) |
6 | Winner 合計 | 11 |
3 | フォアハンド | 6 |
1 | バックハンド | 3 |
2 | サーブ | 2 |
11 | Unforced error 合計 | 13 |
7 | フォアハンド | 7 |
3 | バックハンド | 4 |
1 | サーブ | 2 |
準々決勝を振り返って
まずはソック選手について。
試合前にソック選手が「ボールが跳ねるこのコートを味方にして戦う」とコメントしていた通り、錦織選手の良さを出させないように戦っていたと思います。
ソック選手の持ち味が生かせる条件と錦織選手が苦手とする条件が組み合わさったこともありますが、ミスがありながらもソック選手は積極的に攻撃を続け、良いプレーが随所に出ていました。
残念ながら準々決勝で敗退となった錦織選手。
4回戦のヤング選手との対戦で、スピンの効いたショットに対してタイミングが合っていない場面がありましたが、準々決勝ではソック選手が得意とするスピン系のボールに対して、錦織選手が対応できるかが鍵でした。
第2セットで上手く修正できたように見えましたが、結果は見ての通り去年まで見られたインディアンウェルズでの光景で、最後の方は、試合の行方より錦織選手の肘の状態の方が心配でした。
とりあえず、プレーを見る限り大丈夫そうでしたが。
大会を振り返って
2月の南米クレーでランキングが下位の選手に敗戦や苦戦することが多く、今大会も世界ランキング18位のソック選手に敗戦と、また錦織選手に対して否定的な意見も見られるかもしれません。
個人的には、本当に錦織選手の状態が悪いなら、2回戦のエバンス選手に負けることもありえると思っていたので、良いプレーも見せてしっかりと準々決勝に進出し、後は1つでも上に勝ち進んでくれればという感じでした。
未知の南米クレーと、苦手にしているインディアンウェルズでの結果なので、こんなもんだと思って次に切り替えたいと思います。
応援している選手が負けると落ち込むのは当然ですが、次に期待を持ち越して、インディアンウェルズの準決勝と決勝の試合を楽しみたいです。
そして、錦織選手の次の出場する大会は、3月のマスターズ2連戦の2戦目となるマスターズ1000「マイアミ・オープン」。
2016年に準優勝するなど結果を残している得意のマイアミ・オープンと、ヨーローッパのクレーシーズンなので、ここで良いプレーをして結果を残して欲しいなと思います。
さすがにここで結果が出なかったら、ショックは大きいですが・・・。
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