2017年ブリスベン国際の2回戦について、錦織選手とドナルドソン選手のプレイヤー情報、2回戦の結果とスタッツを見ていきます。
2017年ブリスベン国際の大会結果については、『 2017年ブリスベン国際、大会結果 』をご覧ください。
プレイヤー情報(2回戦)
まずは、対戦両者のプレイヤーデータの紹介です。(※大会前のデータ)
錦織選手が、若手の挑戦をどう跳ね返すかという試合になりそうです。
錦織 圭 | ドナルドソン | |
0勝 | 対戦成績 | 0勝 |
5位(4位) | 最新ランキング(最高) | 105位(96位) |
日本 | 国籍 | アメリカ |
27歳 | 年齢 | 20歳 |
178cm / 75kg | 身長 / 体重 | 188cm / 75kg |
右 / 両手 | 利き手 / バック | 右 / 両手 |
2007年 | プロ転向 | 2014年 |
0勝0敗 | 2017年成績 | 0勝0敗 |
0回 | 2017年優勝回数 | 0回 |
301勝142敗 | 通算成績 | 11勝19敗 |
11回 | 通算優勝回数 | 0回 |
対戦相手のドナルドソン選手についての詳しい情報は、『 選手名鑑:ジャレド・ドナルドソン 』をご覧ください。
※以下、結果の記事ついては、「選手」を略して、書いていきます。
錦織、2回戦の結果!
前日にダブルスで試合を行っていますが、錦織にとって、シングルスでは2017年最初の試合になります。
結果は、セットカウント2-1で、シーズン初戦を勝利。
第1セットの立ち上がりがよかっただけに、まさかフルセットにまで、もつれるとは思いませんでした。
[3] 錦織 圭(5位) | 2 | 4 | 6 | 6 |
ジャレド・ドナルドソン(105位) | 1 | 6 | 4 | 3 |
試合時間:2時間23分 |
---|
試合全体のスタッツでは分かりませんが、セットごとに見ると良い時と悪い時が出ていました。
錦織 | 試合全体 | ドナルドソン |
3本 | サービスエース | 6本 |
3本 | ダブルフォルト | 4本 |
62%(66/107) | ファーストサーブ確率 | 57%(54/95) |
71%(47/66) | 1st Serve Points Won | 59%(54/95) |
44%(18/41) | 2nd Serve Points Won | 49%(20/41) |
41%(22/54) | 1st Serve Return Points Won | 29%(19/66) |
51%(21/41) | 2nd Serve Return Points Won | 56%(23/41) |
5/13 | ブレイク / チャンス | 4/8 |
53%(108/202) | 取得ポイント合計 | 47%(94/202) |
[スタッツ用語の補足]
・1st Serve Points Won:ファーストサーブが入った時にポイントを取得した確率。
・2nd Serve Points Won:セカンドサーブが入った時にポイントを取得した確率。
・1st Serve Return Points Won:相手のファーストサーブが入った時にリターンポイントを取得した確率。
・2nd Serve Return Points Won:相手のセカンドサーブが入った時にリターンポイントを取得した確率。
セットごとに、どんな試合の流れだったか振り返っていきます。
第1セット
錦織のサービスで試合開始。第1ゲームからストロークが冴え、あっさりキープ。
ドナルドソンは、リスクを負って強打で打開しようとするも、錦織がそれをしっかり受け止め、第2ゲームをいきなりブレイク。
第3ゲーム以降も完全に錦織ペースで、第4ゲームもブレイク。
ここまでは一方的な感じで、あっさり試合が終わるのではないかと思わせる内容でした。
しかし、第5ゲームで、1ゲームで3本のダブルフォルトが出るほか、ストロークで微妙にコントロールのズレが出始め、ブレイクを許してしまいます。
さすがに1ゲームでダブルフォルト3本はいただけませんね。
せっかくいい流れで来ていたのに、自滅で流れを失うのはもったいないです。
その後、ドナルドソンのストロークが決まりだして、完全に息を吹き返してきます。
ここからまさかの展開で、第5ゲームから第10ゲームまで、ドナルドソンが何と6ゲーム連取!?
ドナルドソンのストロークもよかったですが、要所で錦織のミスが出てしまい、ゲームを取りきれないという展開が続いて、ズルズル相手のペースになっていきました。
第4ゲームまでの流れから、信じられない展開になり、ドナルドソンが第1セットを取ります。
第1セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ● | ○ | ● | – | – | 4 | ||||||
ドナルドソン | ● | ○ | ● | ○ | ● | ○ | – | – | 6 | ||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
1試合を通して、錦織のダブルフォルトは3本でしたが、その3本はすべて第5ゲームに出たものでした。
その後は、ドナルドソンの勢いに押される展開で、錦織のセカンドサーブを叩いてくるようになって、サービスゲームでポイントを取るのに苦労していました。
ファーストサーブの確率も悪く、サービスから流れも作れずストロークでもミスが出始め、ほんと悪循環に陥っていました。
錦織 | 第1セット | ドナルドソン |
1本 | サービスエース | 2本 |
3本 | ダブルフォルト | 2本 |
51%(20/39) | ファーストサーブ確率 | 48%(16/33) |
55%(11/20) | 1st Serve Points Won | 56%(9/16) |
42%(8/19) | 2nd Serve Points Won | 47%(8/17) |
40%(7/16) | 1st Serve Return Points Won | 45%(9/20) |
53%(9/17) | 2nd Serve Return Points Won | 58%(11/19) |
2/4 | ブレイク / チャンス | 3/5 |
49%(35/72) | 取得ポイント合計 | 51%(37/72) |
第2セット
錦織のサービスで第2セット開始。
第1セットの嫌な流れを払拭するように、第1ゲームをあっさりキープ。
第2ゲームは、0-40から3本のブレイクポイントを逃すものの、デュースの末、ブレイクに成功。
第3ゲームは、ゲームポイントをなかなか取れず、12分以上の長いサービスゲームになりましたが、何とかキープ。
第5ゲームで錦織のミスショットが続いて、ブレイクを許してしまいます。
その後は、お互い何とかキープし続けて迎えた、第10ゲーム。急にやってきたセットポイント、錦織がワンチャンスを活かし、見事ブレイクに成功。
ドナルドソンのリスクを負った強打が深く返って来たり、錦織にもったいないミスが出たりと苦しい展開でしたが、第2セットを何とか奪い、第3セットに持ち込みます。
第2セットもすっきりしない内容ではありましたが、地力の差でもぎ取ったという感じです。こういう嫌な流れでもしっかり試合を作れるのは、錦織の強さだと思います。
ドナルドソンのショットも全てが決まっているわけではないので、第3セットでは再び錦織ペースに持って行きたいところです。
第2セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | ● | – | – | 6 | ||||
ドナルドソン | ○ | ● | ○ | ○ | – | – | 4 | ||||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第2セットでは、錦織のファーストサーブの確率が改善され、サービスゲームから流れを徐々に取り戻せた感じです。
セカンドサーブになると、相変わらずドナルドソンは叩いてくるので、ファーストサーブの確率が上がったのは、流れを変える意味でほんと良かったです。
ストローク勝負になると、まだドナルドソンの勢いが残っており、簡単にポイントを取れていませんが、地力の差が出たセットでした。
錦織 | 第2セット | ドナルドソン |
2本 | サービスエース | 3本 |
0本 | ダブルフォルト | 2本 |
76%(31/41) | ファーストサーブ確率 | 60%(24/40) |
74%(23/31) | 1st Serve Points Won | 58%(14/24) |
20%(2/10) | 2nd Serve Points Won | 50%(8/16) |
42%(10/24) | 1st Serve Return Points Won | 26%(8/31) |
50%(8/16) | 2nd Serve Return Points Won | 80%(8/10) |
2/7 | ブレイク / チャンス | 1/2 |
53%(43/81) | 取得ポイント合計 | 47%(38/81) |
第3セット
錦織のサービスで第3セット開始。
第3ゲームまで、お互いキープの展開が続きます。
第4ゲームで、錦織のスーパーショットが連発し、ブレイクに成功。
フルセットの錦織の本領発揮と言った感じで、第5ゲームもしっかりキープ。錦織のストロークが上回り始めると、第2セットまで見せていたドナルドソンの勢いが、次第に失われていきます。
今まで決まっていた強打がネットにかかったり、ラインオーバーしたりと、ドナルドソンがポイントを取るのに苦労する一方、錦織は第1セットの出だしのようにショットが決まり出しました。
そして、サービングフォーザマッチとなる第9ゲーム。ブレイクポイントを握られましたが、しっかり凌いで第3セットを取り、セットカウント2-1で錦織の勝利。
2017年のスタートは、見てる側としてはハラハラする展開でしたが、しっかり勝ち切ってくれました。
第3セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 6 | |||
ドナルドソン | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 3 | ||||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第3セットは、ファースサーブの確率は高くないものの、ストロークでドナルドソンを上回って、今まで苦労していたセカンドサーブでもポイントを取れるようになっていました。
最後の第9ゲームのサービスゲームで、ヒヤリとする場面もありましたが、錦織がドナルドソンのプレーに慣れてきて、上手く対処できるようになっていった感じです。
スタッツを見ても第3セットは錦織が完全に上回っていますし、全体を通して欲を言えば、もう少しリターンでのポイントが取れたらな、というくらいです。
錦織 | 第3セット | ドナルドソン |
0本 | サービスエース | 1本 |
0本 | ダブルフォルト | 0本 |
56%(15/27) | ファーストサーブ確率 | 64%(14/22) |
87%(13/15) | 1st Serve Points Won | 64%(9/14) |
67%(8/12) | 2nd Serve Points Won | 50%(4/8) |
36%(5/14) | 1st Serve Return Points Won | 13%(2/15) |
50%(4/8) | 2nd Serve Return Points Won | 33%(4/12) |
1/2 | ブレイク / チャンス | 0/1 |
61%(30/49) | 取得ポイント合計 | 39%(19/49) |
2回戦を振り返っての感想
錦織選手の試合後のインタビュー(英語)です。
まずは、ドナルドソン選手のプレーについて、予想していたより、しっかりとしたストロークを持っていて、若さ溢れるすばらしいプレーだったと思います。
第3セットで完全に錦織ペースになってきたところでも、最後まであきらめずいいプレーを続けていましたし、「Next Generation player」としての今後の活躍を見ていきたいですね。
一方、錦織選手のすばらしい立ち上がりを見た時は、こんな展開になるとは予想できませんでしたが、しっかりと勝ち切ってくれました。
錦織選手に挑戦してくる相手は、リスクを負ってガンガン強打してくることもありますし、それがハマると本当に厄介です。
今回は自滅から流れを失った感じもありましたが、どんな形でも勝ちに持っていける強さは健在でした。
錦織選手はシングルスの試合が終わった直後にダブルス準々決勝に登場。
結果は、0-2で負けました。
明日は、シングルスの試合が組まれていないので、しっかり体を休めて欲しいです。
次の準々決勝の対戦相手は!?
フェレール選手ではなく、世界ランキング79位のジョーダン・トンプソン選手(オーストラリア)です。
正直、フェレール選手が勝ち上がってくると思ったんですが、まさかの逆転負けでした。
地元オーストラリアの声援の後押しもあり、トンプソン選手の粘りのあるプレーで、互角の戦いをしていました。
ほとんど情報がなく、2回戦のドナルドソン選手のように、相手の特徴を探りながらの戦いとなるのではないでしょうか。
怖いのは、地元オーストラリアの応援団の声援の大きさかもしれません。
トンプソン選手との準々決勝の結果は、『【ブリスベン国際】 錦織、準々決勝の結果(2017年)』をご覧ください。
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