錦織選手の全豪オープン4回戦の試合結果とスタッツを見ていきます。
最後に錦織選手の次に出場予定の大会を紹介します。
錦織、4回戦の結果
[5] 錦織 圭(5位) | 2 | 77 | 4 | 1 | 6 | 3 |
[17] ロジャー・フェデラー(17位) | 3 | 64 | 6 | 6 | 4 | 6 |
試合時間:3時間23分 |
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4回戦注目のカードとなった対戦は、終始高いレベルのプレーを続けたフェデラー選手が、粘る錦織選手を振り切り、セットカウント3-2で勝利。
錦織選手は4回戦で姿を消すことになり、3年連続での準々決勝進出とはなりませんでした。
第1セットの立ち上がりはフェデラー選手の状態が上がって来ず、錦織選手のペースで試合が進みました。
徐々にフェデラー選手に本来のプレーが戻ってきて、タイブレークにもつれ込みましたが、錦織選手が第1セットを先取。
第2セットからは、フェデラー選手のサービスを崩すことができず、フェデラー選手が2セット連取。
第4セットは、フェデラー選手の攻撃を耐え続けた錦織選手が、ワンチャンスをものにし、第4セットを奪取。
フェデラー選手の厳しい攻めに限界ギリギリのプレーで耐え続けたことで、不安視されていた左臀部(でんぶ)に痛みが出てしまいました。
第5セットは、フェデラー選手が高い精度のストロークと強力なサーブで押し切り、フルセットの戦いを制しました。
それでは、今日の試合のスタッツを見てみます。
錦織選手の調子は良かったと思いますが、フェデラー選手がそれを上回るプレーをしてきました。
第1セットこそフェデラー選手のアンフォーストエラーが目立ちましたが、第2セット以降はミスが少なく、ライジングでどんどん厳しいコースに打ち込んできました。
錦織選手の方は、ファーストサーブが入らないと厳しい展開になることが多く、最後まで苦しいサービスゲームでした。
錦織 | 試合全体 | フェデラー |
5 | サービスエース | 24 |
5 | ダブルフォルト | 6 |
107/164 (65%) | ファーストサーブ確率 | 100/148 (68%) |
73/107 (68%) | 1st Serve Points Won | 80/100 (80%) |
24/57 (42%) | 2nd Serve Points Won | 23/48 (48%) |
3/10 (30%) | ブレイク / チャンス | 7/18 (39%) |
19/30 (63%) | Net Points Won | 29/44 (66%) |
42 | Winners | 83 |
32 | Unforced Errors | 47 |
142 | Total Points Won | 170 |
2917.3m | Distance Covered | 2832.2m |
[スタッツ用語の補足]
1st Serve Points Won:ファーストサーブが入った時にポイントを取得した確率。
2nd Serve Points Won:セカンドサーブが入った時にポイントを取得した確率。
Net Points Won:ネットに出てポイントを取得した数/ネットに出た数。
Winners:相手がボールに触れずに決まったポイントの数(ここではサービスエースも含む)。
Unforced Errors:普通なら容易に返せる相手のショット(サーブ)に対して、ミスをした数。
Total Points Won:自分が取得した全ポイント。
Distance Covered(m):選手の走行距離(単位はメートル)。
セットごとに、スタッツをピックアップしながら振り返っていきます。
第1セット
立ち上がりから錦織選手のリターンがよく、第1ゲームでいきなりブレイク。
フェデラー選手のサーブに錦織選手がしっかり対応し、第3ゲームも錦織選手がブレイクに成功。
序盤はフェデラー選手のアンフォーストエラーが多く、錦織選手のペースで試合が進みましたが、ゲームを重ねるごとにフェデラー選手の動き、サーブとストロークの精度が良くなってきました。
第8ゲーム、錦織選手がサーブアンドボレーを2度試みるがどちらもミス。余裕のあるうちに違う攻めを見せておく狙いだったと思いますが、ポイントにつながらずブレイクされます。
サーブアンドボレーの選択自体は良かったが、ボレーでのイージーミスが悔やまれます。
第10ゲームでもフェデラー選手にブレイクされ、完全にフェデラー選手の流れに。
会場の雰囲気もフェデラー選手贔屓で、錦織選手にとっては非常に辛い状況でタイブレークへ突入。
しかし、錦織選手が嫌な流れを断ち切る集中力を見せ、第1セットを先取。
余裕のある展開から一転、追い詰められましたが、ほんとによく踏ん張ったと思います。
第1セット | ||||||||||||||
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1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T | ||
錦織 | ● | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | 7 | 7 | ||||||
フェデラー | ○ | ○ | ● | ○ | ● | ○ | 4 | 6 | ||||||
○:キープ、●:ブレイク、T:タイブレーク |
序盤からフェデラー選手のアンフォーストエラーが多く、状態が上がってくる前に第8ゲームで終わらせておきたかったです。
タイブレークまで行ったことで、フェデラー選手に時間を与え、錦織選手も結果的にここで使った体力が最後響いてしまいました。
錦織 | 第1セット | フェデラー |
30/43 (70%) | ファーストサーブ確率 | 34/51 (67%) |
19/30 (63%) | 1st Serve Points Won | 24/34 (71%) |
7/13 (54%) | 2nd Serve Points Won | 6/17 (35%) |
2/8 (25%) | ブレイク / チャンス | 2/3 (67%) |
17 | Winners | 21 |
7 | Unforced Errors | 18 |
第2セット
お互いサービスキープの流れで進みますが、第2セットはフェデラー選手のサービスゲームでまったくチャンスが来ませんでした。
錦織選手も安定したサービスゲームを続けていましたが、第7ゲームでブレイクされます。
このゲームはファーストサーブの入りが悪くなり、しかもデュースになったところでダブルフォルト。ブレイクポイントを握られると、次もファーストサーブが入らずセカンドサーブを叩かれるという流れでした。
フェデラー選手がワンチャンスをものにして、第2セットを奪取。
第2セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | 4 | ||||||
フェデラー | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | ○ | – | – | 6 | ||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
フェデラー選手は要所でファーストサーブが決まり、錦織選手にあと一本欲しいというところでチャンスを与えてくれませんでした。
フェデラー選手のファーストサーブの確率が80%、ファーストサーブが入ったときのポイント取得率が95%と、第1セット終盤から攻略できなくなりました。
錦織 | 第2セット | フェデラー |
21/30 (70%) | ファーストサーブ確率 | 20/25 (80%) |
17/21 (81%) | 1st Serve Points Won | 19/20 (95%) |
2/9 (22%) | 2nd Serve Points Won | 2/5 (40%) |
0/0 (0%) | ブレイク / チャンス | 1/3 (33%) |
5 | Winners | 17 |
6 | Unforced Errors | 6 |
第3セット
第3セットの立ち上がりは錦織選手も変わらず調子は良かったが、第3ゲームで先にブレイクを許します。
フェデラー選手がネットに出るなど錦織選手に揺さぶりをかけてきて、これに対処できませんでした。
錦織選手は途中から完全に頭の整理がついてない状態で、フェデラー選手の攻撃に対処できないまま、フェデラー選手が第3セットも取ります。
表現は悪いですが、最後の方は次のセットのために体力温存で捨てゲームにしているような感じでもありました。
第3セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | – | – | – | – | 1 | |||||||
フェデラー | ○ | ● | ○ | ● | ○ | ● | ○ | – | – | – | – | 6 | |
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
錦織選手はサービスゲームが安定しないため主導権が握れず、サービスからリターンにつながるいい流れが作れませんでした。
一方、フェデラー選手は良いリズムで試合を運べていました。
錦織 | 第3セット | フェデラー |
15/21 (71%) | ファーストサーブ確率 | 12/20 (60%) |
8/15 (53%) | 1st Serve Points Won | 9/12 (75%) |
0/6 (0%) | 2nd Serve Points Won | 5/8 (63%) |
0/1 (0%) | ブレイク / チャンス | 3/6 (50%) |
2 | Winners | 8 |
8 | Unforced Errors | 7 |
第4セット
第2ゲームで錦織選手がダブルフォルトをするとラケットを叩きつけます。
集中力が切れたかと思ったら、そこから4連続ポイントでキープといい意味で吹っ切れたかも。
そして、このセットで大きなポイントとなったのは第4ゲームの錦織選手のサービスゲーム。ここを落としていたら一気にフェデラー選手の流れで試合は終わっていたと思います。
お互いすばらしいショットの応酬で、ウィナーの取り合いが続きます。10分を超えたこのゲームを錦織選手がキープ。
フェデラー選手も集中力を高めて勝負を決めにきていたこともあり、次のサービスゲームで隙を見せました。フェデラー選手が珍しくネットプレーで連続ミスをするなど、錦織選手がブレイクに成功。
その後はお互いキープして、錦織選手が第4セットを取ります。
しかし、第4セット終了後に、錦織選手がトレーナーを呼んで腰のあたりをマッサージ。
第4セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | – | – | 6 | ||||
フェデラー | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | 4 | ||||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第4セットも錦織選手の苦しいサービスゲームがありましたが、このセットは苦しい場面でも集中力を切らさず耐えきりました。
フェデラー選手がライジングで早いタイミングで厳しいコースに打ち分けてくるので、錦織選手もそれに対応するためにギリギリの状態で何とか返すという繰り返しもあり、体に相当負担がかかっていたと思います。
錦織 | 第4セット | フェデラー |
25/41 (61%) | ファーストサーブ確率 | 18/25 (72%) |
19/25 (76%) | 1st Serve Points Won | 14/18 (78%) |
8/16 (50%) | 2nd Serve Points Won | 3/7 (43%) |
1/1 (100%) | ブレイク / チャンス | 0/2 (0%) |
8 | Winners | 21 |
3 | Unforced Errors | 11 |
第5セット
体への負担に加え、疲れの色が見える錦織選手。
第2ゲームで錦織選手のストロークでミスが続いて、ブレイクを許します。
第3ゲームが終わったところで、錦織選手がメディカルタイムアウトを取り、左臀部(でんぶ)を治療。
後がない錦織選手も限界ギリギリのところで、諦めず最後の最後まで戦い抜きましたが、フェデラー選手のサーブの調子が落ちてくることはなく、ストロークの精度も抜群でチャンスが来ませんでした。
フェデラー選手がサービングフォーザマッチをラブゲームでキープし、セットカウント3-2でフェデラー選手が勝利。
第5セット | |||||||||||||
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1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 3 | ||||||
フェデラー | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | – | 6 | |||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
第5セットは錦織選手のブレイクチャンスは0回。
フェデラー選手のサーブが好調、ストロークもミスをしないで厳しいコースにどんどん決めてくる、ファイナルセットでも質の高いプレーを維持し続けたフェデラー選手を褒めるしかありません。
錦織 | 第5セット | フェデラー |
16/29 (55%) | ファーストサーブ確率 | 16/27 (59%) |
10/16 (63%) | 1st Serve Points Won | 14/16 (88%) |
7/13 (54%) | 2nd Serve Points Won | 7/11 (64%) |
0/0 (0%) | ブレイク / チャンス | 1/4 (25%) |
10 | Winners | 16 |
8 | Unforced Errors | 5 |
4回戦を振り返って
4回戦「錦織 vs フェデラー」のハイライト動画です。
想像していたより、はるかにフェデラー選手のプレーがすごかったです。
厳しいボールでもいとも簡単にライジングで厳しいコーナーに打ち返してくる、ミスが少なくウィナーを量産と、怪我で離脱す前より明らかにプレーの質がよく、35歳でまだ進化していました。
ここ2、3年の中でも今が一番いい状態に来ているのでは!?
1セットに最低でも1回は、フェデラー選手のサービスゲームでチャンスを作れるかと思っていましたが、まったくチャンスなし。
一方で錦織選手だけがサービスゲームで苦労します。
セカンドサーブを攻められることは予想していましたが、リターンでノーチャンスが続くことで、サービスゲームを絶対に落とせないというプレッシャーが常にかかっていました。
第4ゲームで完全に気持ちが切れそうになりながらも、そこから挽回してフルセットまでよく戦い抜いたなと思います。ただ、隙のないフェデラー選手をどう攻略するか、それが見つけられなかったです。
錦織選手の今後の予定は!?
錦織選手の次の出場予定の大会は・・・
と、その前にまずは、左臀部の治療に専念して欲しいですね。
すでに発表された通り、錦織選手は2月3日からのデビスカップは欠場。
次戦は、2月13日からのアルゼンチン・オープン(ATP250)です。
それ以降の試合予定は、『2017年、錦織の試合予定』をご覧ください。
例年とはスケジュールが変わり、2017年2月はクレーでの大会に出場し、そこから3月のマスターズに挑みます。
クレーでしっかり調整して、今年の目標の1つであるマスターズ優勝を目指して、頑張って欲しいです。
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