2017年アルゼンチン・オープンの決勝、錦織選手の対戦相手はアレクサンドル・ドルゴポロフ選手。
錦織選手のアルゼンチン・オープン決勝のプレイヤー情報、試合結果とスタッツを見ていきます。
最後に、錦織選手が次に出場するリオ・オープンの1回戦についても紹介します。
プレイヤー情報(決勝)
まずは、錦織選手とアレクサンドル・ドルゴポロフ選手のプレイヤーデータの紹介です。(※大会前のデータ)
錦織 圭 | ドルゴポロフ | |
5勝 | 対戦成績 | 0勝 |
5位(4位) | 最新ランキング(最高) | 66位(13位) |
日本 | 国籍 | ウクライナ |
27歳 | 年齢 | 28歳 |
1989年12月29日 | 生年月日 | 1988年11月7日 |
178cm / 75kg | 身長 / 体重 | 180cm / 71kg |
右 / 両手 | 利き手 / バック | 右 /両手 |
2007年 | プロ転向 | 2006年 |
6勝2敗 | 2017年成績 | 1勝4敗 |
0回 | 2017年優勝回数 | 0回 |
307勝144敗 | 通算成績 | 189勝177敗 |
11回 | 通算優勝回数 | 2回 |
選手名鑑『アレクサンドル・ドルゴポロフ』では、ドルゴポロフ選手の選手紹介やツアー経歴など詳しく紹介しています。
錦織、決勝の結果
[1] 錦織 圭(5位) | 0 | 64 | 4 | |
アレクサンドル・ドルゴポロフ(66位) | 2 | 77 | 6 | |
試合時間:1時間40分 |
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終始攻撃的なテニスを展開したドルゴポロフ選手が、錦織選手の反撃を許さず、4年6ヶ月ぶりとなるツアー3勝目を挙げました。
第1セットの第1ゲームで錦織選手にいきなりブレイクのチャンスが来ましたが、モノにできず。終わってみれば、この試合で1番チャンスがあったのはこのゲームだけでした。
その後、ドルゴポロフ選手が早いテンポでどんどん攻撃を仕掛け、ストローク勝負でなかなか主導権が握れない錦織選手。
また、ドルゴポロフ選手のサーブが非常によく、リターンで突破口を見つけられないまま最後まで押し切られました。
残念ながら錦織選手は決勝で敗れ、2016年2月のメンフィス・オープン以来の優勝とならず、これで決勝では6連敗。
そして、錦織選手は休む間もなく、ブラジルに飛びリオ・オープンに出場します。
それでは、今日の試合のスタッツを見てみます。
ドルゴポロフ選手のファーストサーブが入った時に、錦織選手がポイントに繋げることができず、リターンでまったくチャンスが作れませんでした。
また、錦織選手は自分のサービスゲームでピンチを迎えながらも、何とかキープし続け我慢していましたが、ドルゴポロフ選手のプレーが最後まで落ちてきませんでした。
錦織 | 試合全体 | ドルゴポロフ |
2 | サービスエース | 4 |
1 | ダブルフォルト | 0 |
63%(49/78) | ファーストサーブ確率 | 59%(44/75) |
69%(34/49) | 1st Serve Points Won | 84%(37/44) |
59%(17/29) | 2nd Serve Points Won | 55%(17/31) |
0%(0/3) | ブレイク / チャンス | 13%(1/8) |
47%(72/153) | Total Points Won | 53%(81/153) |
[スタッツ用語の補足]
1st Serve Points Won:ファーストサーブが入った時にポイントを取得した確率。
2nd Serve Points Won:セカンドサーブが入った時にポイントを取得した確率。
Total Points Won:自分が取得した全ポイント。
セットごとに試合を振り返っていきます。(振り返りでは「選手」は略)
第1セット
ドルゴポロフのサービスで試合開始。
第1ゲーム、15-40と錦織にいきなりブレイクチャンス。ドルゴポロフが凌いでキープ。
その後お互いキープが続きますが、ドルゴポロフの早いテンポの攻撃に錦織が対応できず、主導権が握れません。
第8ゲーム、0-40とドルゴポロフにブレイクチャンス。このゲーム5度のブレイクポイントを握られましたが、大ピンチの状況で錦織が集中力を見せ何とかキープ。
第9ゲーム、30-40と錦織がブレイクポイントを握りますが、ドルゴポロフの攻撃が上回りブレイクならず。
ピンチのあとに来たチャンスで錦織がブレイクできそうな流れでしたが、モノにできませんでした。
タイブレイクまでもつれましたが、錦織のファーストサーブ入らず先にミニブレイク許します。
一方、ドルゴポロフはファーストサーブが全部決まり、錦織にリターンからの攻撃を許さず、ドルゴポロフが第1セットを先取。
第1セット | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 4 | 6 | ||||||
ドルゴポロフ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 7 | 7 | ||||||
○:サービスキープ、●:ブレイク、T:タイブレイク |
ドルゴポロフのサーブが非常によく、ここ一番でほとんどファーストサーブが決まるなど、錦織はまったくチャンスを作れませんでした。
錦織 | 第1セット | ドルゴポロフ |
1 | サービスエース | 2 |
1 | ダブルフォルト | 0 |
67%(32/48) | ファーストサーブ確率 | 60%(25/42) |
69%(22/32) | 1st Serve Points Won | 84%(21/25) |
63%(10/16) | 2nd Serve Points Won | 65%(11/17) |
0%(0/3) | ブレイク / チャンス | 0%(0/6) |
47%(42/90) | Total Points Won | 53%(48/90) |
第2セット
錦織のサービスで第2セット開始。
お互いリターンでチャンスを作れず、淡々とゲームが進んでいきます。
第7ゲーム、15-40とドルゴポロフが先にブレイクチャンスを迎えます。ドルゴポロフがリターンエースを決め、ブレイクに成功。
錦織は1度もブレイクポイントを握れないまま、第10ゲームへ。
第10ゲーム、ドルゴポロフのサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップ。
30-30と錦織も最後まで粘りを見せましたが、ドルゴポロフが最後まで攻め続け、ストレート勝ちで優勝を決めました。
第2セット | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | ||
錦織 | ○ | ○ | ○ | ○ | – | – | 4 | ||||||
ドルゴポロフ | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | ○ | – | – | 6 | ||||
○:サービスキープ、●:相手のサービスゲームをブレイク |
錦織 | 第2セット | ドルゴポロフ |
1 | サービスエース | 2 |
0 | ダブルフォルト | 0 |
57%(17/30) | ファーストサーブ確率 | 58%(19/33) |
71%(12/17) | 1st Serve Points Won | 84%(16/19) |
54%(7/13) | 2nd Serve Points Won | 43%(6/14) |
0%(0/0) | ブレイク / チャンス | 50%(1/2) |
48%(30/63) | Total Points Won | 52%(33/63) |
決勝を振り返っての感想
アルゼンチン・オープン決勝「錦織 vs ドルゴポロフ」のハイライト動画です。
ドルゴポロフ選手の超攻撃的なテニスにやられてしまいました。
ドルゴポロフ選手がフォアハンドだけでなくバックハンドからも攻めてくる、何よりファーストサーブが決まるとまったくチャンスが作れない、ほんとに厳しい展開でした。
錦織選手はピンチでもキープを続けるなど我慢し続けましたが、ドルゴポロフ選手の攻撃的なテニスを上回るテニスを展開できず、受け身になりすぎた面があったかもしれません。
錦織選手に優勝して欲しかったですが、リスクを犯してでも攻め続ける自身のプレースタイルを貫き、見事優勝を果たしたドルゴポロフ選手を賞賛しなければと思います。
世界ランキングが下位の選手が多く優勝が期待されたATP250の大会、決勝では相性が良かったドルゴポロフ選手に敗戦、決勝で6連敗など、批判的な意見をしたくなる要素がてんこ盛りですが、敗因を考えます。
- 体力面と怪我のリスク回避!?
- コートが合わない
準決勝での消耗が激しかった影響で疲れがあったのか、試合中の表情がずっと冴えないままで、ガッツポーズもないくらい淡々と試合をしている感じがしました。
錦織選手はもちろん勝つ気で挑んでいると思いますが、疲れがたまっているときに無理なプレーをすると怪我のリスクも出るため、どこかブレーキをかけてプレーしていたのかもしれません。
プレスカンファレンスでこの大会のコートに対して辛口コメントを残しているように、気温によるバウンドの変化を含め、微妙に合わせ切れずミスになるなど、攻めることのリスクが大きすぎて攻めきれなかったかもしれません。
決勝もストロークが浅くなることが多く、ドルゴポロフ選手に打ちやすいところによくきていました。
錦織の目指すべきプレースタイルは!?
今ではランキング下位の選手がリスク覚悟で攻め込んでくることが多く、第1セットを先取される場面や、錦織選手のアップダウンの大きさもあって、相手に途中で息を吹き返す機会を与える場面が度々見られます。
1セット余分に戦ってしまう、また途中のアップダウンにより決めきれずに試合が長引くなど、体力面やフィジカル面での消耗がボディーブローのように効いて、トーナメントを勝ち上がっていくに連れ、パフォーマンスに影響してしまっている感じもします。
現在、マスターズやグランドスラムを優勝するためにいろいろと取り組んでいる段階だと思いますが、試合中のアップダウンの差を小さくし、悪いなりにも守備をしながら押し返せる(攻める)テニスができるようになれば、錦織選手がまた一つ上のレベルに行ける気がします。
理想的なプレースタイルはジョコビッチ選手で、もともと守備が強い選手でしたが、守りながらも攻めるテニスを実践できるようになって、頭一つ抜けた強さを手に入れたと思います。
錦織選手のサーブも年々向上していますが、サーブの強化もまだまだ必要ですし、メンタル面での向上も。
マスターズで1度でも優勝できれば自信になって、メンタル的にも一皮むけた強さを手に入れられそうな気がしているんですが、これが大変です。
ちょっと話題が脱線しますが・・・
今に始まったことではありませんが、この錦織選手の敗戦でドルゴポロフ選手を「格下」扱いしているメディアが多く見られ、今はランキングを落としているとはいえ、自己最高13位の実力のある選手で、単純にランキングだけで「格」の扱いはやめて欲しいなと個人的に思います。
ブリスベン国際で負けた時も、当時17位(最高8位)のディミトロフ選手を「格下」扱い。
選手に対するリスペクトが感じられない「格下」という表現は、正直好きではないです。
錦織、次の出場予定は!?
2月20日からブラジル(リオデジャネイロ)で開催されるATP500「リオ・オープン」。
すでにドローは発表され、錦織選手は休む間もなく1回戦から出場になります。
1回戦の相手は、地元ブラジルのトマス・ベルッシ選手。
地元のクレーコーターということで、1回戦からタフな戦いが予想されます。
アルゼンチン・オープンでは残念ながら準優勝となりましたが、リオ・オープンでの巻き返しに期待したいところです。
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